あなたの税金を新聞に?(2)

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2009年09月27日 14:08

あなたの税金を新聞に?(2)

前回に続き、8月24日、毎日新聞に掲載された原寿雄氏の「新聞への公的支援論議を」に関して。

 

人生の大部分を同じ会社の仕事に費やし、しかも社長まで務めた原氏は、ある意味、ジャーナリストとしてはほんとうにかわいそうな人間だ。解雇や失業を経験したわけでもない。派遣やバイトで長い間、搾取されてきたわけでもない。狭い世の中で生きてきたのだから、その視点も限られている。しかし、もっとかわいそうなのは、日本の国民だ。このような方が日本のジャーナリズム界で影響力を持っているのだから。

原氏は、一党支配の国家で、最も影響力のある大手メディアのトップにいた方だ。「民主主義社会ではジャーナリズムが不可欠だ」と語っているが、一党支配の国家で、そのジャーナリズムが機能していないことを問題視してこなかった、問題視できなかった方だ。彼の記事では、新聞業界が、再販制度や特殊指定制度を維持するために、政治献金(ほとんどが自民党)をしてきたことも問題視していない。

 

「特定の利害に左右されない道義性の高さを肩代わりできる媒体は、当面ほかに見当たらない」などと述べている。つまり新聞ジャーナリズム以外には見当たらないということだ、「特定の利害に左右されない道義性の高さ」などが、彼の言う「新聞ジャーナリズム」にあるなどと、本気でそんなことを思っているのだろうか。原氏は、現在の日本の社会でほんとうに生活している人か?

残念なことに、原氏の講演を聞き、彼の著書を読む人が少なくない。日本の社会をよく知るジャーナリスト・ウォルフレン氏が言う「悲劇」がここにもある。
(つづく)


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