上杉隆:「記者クラブ問題が存在しない理由」

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2009年07月30日 11:07

興味深い記事がありましたので、掲載します(抜粋)。全文はタイトルをクリックしてください。大メディアに都合の悪いことを言う人間は「消していく」ということでしょう。やはり、自分たちの利益を最優先しているのがよく分かります。



上杉隆「記者クラブ問題が存在しない理由」



ジャーナリスト・上杉隆氏と正体を明かさない社会派ブロガー・ちきりんさんの対談4回目。これまで書籍やテレビ番組などを通じて、上杉氏は日本の記者クラブ制度について批判してきた。しかしこの問題を取り上げることによって、番組を降板されるなど、さまざまな圧力を受けてきたという。



 今回はメディア業界のタブーとも言える「記者クラブ」問題を中心に、2人に語ってもらった。



「記者クラブ問題が存在しない理由」



ちきりん: アンチといえば……“アンチ上杉さんという人も多いのでは? 1年ほど前に『ジャーナリズム崩壊』という本を出されて、その中で痛烈に日本の記者クラブについて批判されていますよね。



上杉: これまで記者クラブ批判をした人はたくさんいますが、多くの人は失敗してきました。あるジャーナリストは「記者クラブなんて批判しても何も変わらない。時間のムダだから止めたほうがいい」と話されていました。また『新聞が面白くない理由』を書かれた岩瀬達哉さんも「もう記者クラブを批判するのは止める」と言っていました。そこで僕は「分かりました。それでは僕が引き継ぎます」といって、記者クラブ批判の本を書いたのです(笑)。



 フリーのジャーナリストで記者クラブを批判している人は多いのですが、声を大にして批判する人は少ない。その理由は、取材がしにくくなるから。例えば僕が記者会見の席で質問しても、テレビや新聞で掲載されることは一度もない。よく新聞で、大物政治家の記者会見の様子が全文掲載されていますが、僕が質問したところは記者クラブの意向でカットされてしまう。



ちきりん: それはヒドイですね。ただ民主党が政権を取れば、記者クラブがなくなるかもしれませんよね?



上杉: そのことを記者会見で質問したことがあります。すると鳩山由紀夫さんは「どうぞ記者会見にお入りください」と話されていたが、その部分は削除されていた。



 つまりこの国では、記者クラブ問題は「存在しない」ということになっています。実は記者クラブを批判するということは、ジャーナリストとして消されてしまう危険性があります。そこで僕は『小泉の勝利 メディアの敗北』という本の中で、自身の記事を掲載し、ミスを自己検証し批判を加えた。いわば自爆本ですね。これだと誰も文句は言わないだろうと思い、とにかく自分のことを批判していった(笑)。



 また『ジャーナリズム崩壊』が出る前に、僕はテレビに出演し、露出を高めていったのです。もちろんテレビ局は記者クラブに加盟していますが、本が出版されたからといって、テレビ局は僕を降板させることができないだろうと思ったわけですね。もし僕が雑誌やスポーツ新聞だけで書いていたら、黙殺されて終わりだったでしょう。記者クラブ問題は取り上げられなかったら、何もなかったことと同じですから。昔、立花隆さんも記者クラブのことを批判していましたが、やや突っ込みが足りなかった。なぜなら立花さんは文藝春秋のOBで雑誌側の人間だから。



ちきりん: 本を出版されたとき「仕事がなくなるのではないか」といった不安はありませんでしたか?



上杉: 本が出る前に、僕は幻冬舎の編集担当者にこう言いました。「たぶんテレビや雑誌などのレギュラーを降ろされるでしょう」と。しかし降ろされたのは、2本だけ。というのも視聴者から「上杉は変わっていて面白い」という声がきていて、テレビ局としても降ろしにくくなったという要素もあるようですね。僕がブラウン管に映っているときに、視聴率が上がったこともあったようですから。



 また関西で放送されていた『ムーブ!』という番組の最終回では、15分間にわたって記者クラブ批判をしました。最後に「地上波のテレビ番組で記者クラブ問題を取り上げることができたのは、なぜなら『ムーブ!』が最終回だからです」と言った。そのとき、ディレクターは「あ~これでクビだあ~」と言っていましたが(笑)。



 ただ後日談があって、実は次の番組でレギュラー出演が決まっていたようなのです。ですが、記者クラブ批判のほとぼりが冷めてからということで、ひとまず「お断り」になったみたいですね。



ちきりん: そんな仕打ちをするんですか……



上杉: 『ムーブ!』で記者クラブを批判したため、他局でも「上杉を出すな」といった声があったようです。こうした情報はすべて記者やテレビ局の人間から教えてもらうのですが、それで「もう政治関係のジャーナリストとしてメシを食っていけないなぁ」と思い、ゴルフ雑誌の連載を始めたんです(笑)。



 ところが不思議なことに捨てる神あれば拾う神ありで、かえってレギュラーの仕事が増えてきたんです。


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