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2010年04月10日

「サンデープロジェクト」と田原総一朗の退場



私がお世話になる半澤さんがリベラル21に書いたご意見を転載させてもらいます。文中に出てくる佐藤氏の考察はかなり寛大なものです。

2010.04.06「サンデープロジェクト」と田原総一朗の退場

私のメディア論(3)

半澤健市 (元金融機関勤務)


        
89年4月に始まったテレビ朝日系の「サンデープロジェクト」が3月に終わった。
田原総一朗が仕切った番組である。なぜか気になってつい見てしまう番組であった。
21年間は短くない。田原総一朗論らしき感想を書いておく。

《グローバリゼーションとバブル後の閉塞》
この21年で世界はどう変わったか。
天安門事件、ベルリンの壁崩壊、冷戦の終焉、9・11。詰まるところ世界は「グローバリゼーション」へ収れんしたのである。それは今も続いている。過去20年間、自分の生活に対して「グローバリゼーション」が最大のインパクトを与えた。こう感じる読者は多いと思う 。
「平成」になった日本の政治と経済はどう変わったか。


政治と経済
総理大臣は何人代わったか。竹下・宇野・海部・宮沢・細川・羽田・村山・橋本・小渕・森・小泉・安倍・福田・麻生・鳩山。首相15名、内閣の数は20であった(改造は非カウント)。鳩山由紀夫の登場をもって人は「政権交代」という。「日米同盟」は強化された。日本の陸軍・空軍はイラクに派兵され、海軍はインド洋に展開した。


GDPは500兆円で横這いである。20年間のゼロ成長。これが大方の実感である。日経平均は、89年に史上最高値の38915円をつけたが、09年には安値7054円となった。バブルの崩壊とその後の長い低迷。貧困社会と格差社会の発生。そのなかで日中貿易総額は日米のそれをを超えた。
レーガン・サッチャー・中曽根時代に始まるグローバリゼーションは、四半世紀のち日本では小泉と竹中が仕上げをした。弱肉強食主義である。多国籍大企業が栄えて国民経済が没落する枠組みの成立である。「国民経済」は今や自明のものでない。

メディア
日本のこのトータルな変化を、批判的にでなく肯定的に伝えたのが日本のメディアであった。新聞もテレビも、権力の監視者、護民官、批判者の色彩を失った。権力の機関誌となり「大本営発表」口移しメディアへ限りなく近づいた。日本メディアはグローバリゼーションに抱きしめられたのである。

《時代と共演した田原総一朗》
 田原総一朗は、「ワイドショー」よりは少し高いレベルで、政治を「茶の間」に招き入れた。それは一定の成果を挙げた。密室の政治をテレビ画面に移動させたという幻想を人々に与えた。
政治は政治家の一瞬の決断で決まる。政治は政治家間の権力闘争である。田原は政治をそういうものとして表現した。テレビ画面の狭い空間に政治家を閉じ込めて「イエスかノーか」と迫った。彼は自分の追及で宮沢喜一や橋本龍太郎を退陣に追い込んだと言っている。

田原はかつて「私は時代と共演したい」といった。その希望は見事に達成されたといえよう。この電波芸人は天才的なポジショニングによってグローバリゼーションとの共演を続けてきた。その演じ方には特色がある。田原が社民党や共産党の指導者に対する傲慢な態度と中曽根康弘に対するときの神妙・卑屈な姿勢を思い出して欲しい。
大統領退陣後の息子ブッシュへ田原はインタビューを行った。内容空疎なお仕着せ会見を日本人初の単独会見と宣伝した。要するに内弁慶なのである。

《「権力党員」の優等生として》 
田原総一朗の実像をグサリと指摘したのは元外務官僚の佐藤優である。評論家立花隆との対談で佐藤はいう。


私の理解では「権力党」という政党があるんです。/具体的な政党とは関係ないんです。権力というものは常にどこかにありますよね。その権力から常に外れない権力党員というものがいるんです。権力党員である条件は、権力の一番の中心には入らない。/権力に批判的な姿勢をとりながら、必ず権力の内側にいる。これが権力党員のコツですから、常に建設的批判者でなければならないんです。建設的批判者といっても、反体制的、左翼的にはならないんです。私の考えでは、ニュースキャスターで評論家でもある田原総一朗さんは、ホンモノの権力党員なんです。/独特の技法を持っていないと権力党員の党籍を維持できないからです。これは皮肉で言っているのではありません。メディアと政治をつなぐ回路として権力党員はとても重要です。しかし立花さんは田原さんと決定的に違う。権力党員ではなく、インテリゲンツィアなんです。(立花隆・佐藤優『ぼくらの頭脳の鍛え方』、文春新書・09年、155~156頁)

付け加える言葉は何もない。

《田原の退場と新しいモデルの可能性》 
田原総一朗は何故退場するのか。
彼のような恣意的で近視眼的なアジェンダの設定では、元祖アメリカが破綻した今、グローバリゼーションの再建はうまく行かない。「徹底討論」といいながら7、8人の論者が短時間をわめき合うスタイルでは現代日本は掌握できない。
今やメディアも世界の全体性を歴史の文脈で掘り下げる必要がある。
そのように考えて「つねにどこかにある」権力は、新しいメディアのスタイルを模索し始めたのではないか。権力だけではない。ここで「ブログ」の効用を述べるつもりはないが、視聴者、読者も次第にバカではなくなっている。

この文章を書いている4月2日夜、BSフジのニュース番組「PRIMENEWS」は「スウェーデン型に学ぶ 日本社会再生のヒント」と題して2人の専門家に1時間半語らせている。1人は政治学者で福祉政策専門家の宮本太郎、1人はスウェーデンの仕事が多いビジネスマン西野弘である。「サンケイ」グループの番組だと軽くみてはいけない。意外にも真面目で情報量の多い番組なのである。
こういう動きは「つねにどこかにある権力」と「バカではない人々」の双方がそれを求めているのである。新しい報道スタイルが必要になったのである。時代は動いている。

10年3月28日の「サンデープロジェクト」最終回には与野党の全党首が集まった。
民主党菅、自民党谷垣、公明党山口、共産党志位、社民党福島、国民新党亀井、みんなの党渡辺、日本新党田中である(民主党のみ副総理)。田原総一朗への賛辞が溢れた。
この「壮観」はジャーナリスト田原総一朗の「偉大さ」の表現なのか。与野党政治家の権力党員への「迎合」の表現なのか。日本的な美しい「人間関係」の表現なのか。花束を抱いて退場する田原を見ながら、私は「日本の現実を表象する異様な光景」だと思った。

(転載は以上)

 




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