2009年07月01日
沖縄で日本の新聞社の人と
沖縄には取材で何度か行っているが、初めて行ったのはアメリカで学んでからのこと。ジャーナリスト志望でアメリカの大学院で学び始めたが、それまで、沖縄も長崎も広島も訪れたことがなかった。まったく恥ずかしいことだった。これらの土地の名前はアメリカでもっともよく聞いた(東京と京都とともに)。
もう数年前になるが、沖縄である大手新聞社の記者と会うことになっていた。沖縄を取材できるなんて、素晴らしいことだと思った。いったいどんな記者が沖縄から記事を書いているのだろう、沖縄で生活し、取材し、全国の読者に記事を届けるその意義とは、などと好奇心を抱いていた。
実際にあって驚いた。この記者の私に対する最初の質問は、「どこのホテルに泊まっていますか」
ぼくがホテル名を言うと、「えっ、あそこ、汚いでしょー」との返答。
あ然として、次の言葉が出なかった。このような最高に貧しい価値観の子どもが大手新聞で記事を書いていて、その記事を国内の多くの人が読んでいるとは。その後、アメリカにいる日本の新聞の記者がワシントンから西海岸に取材に行くのに、ファーストクラスに乗って行ったという話も聞いた。かわいそうな人間ばかりだ。何が優先順位、プライオリティか分かっていない。しかも、それを一番考えなくてはいけないはずの職業の人間たちが、だ。これじゃ、社会がよくなるはずがない。
それよりも驚いたことは、アメリカの新聞社の東京支社に長年勤めるアメリカ人記者にこの話をしたときの彼の返答だ。「おまえ、あったりまえだ。そんなの気がついていなかったのか」というようなトーンで次のように言った。
「日本の新聞は、彼(ぼくが沖縄で会った人)のような人間ばかりだ。彼らはジャーナリストではないんだぞ。彼らはサラリーマンだ。彼らはジャーナリズムを実践していないんだ。だから、日本にはジャーナリズムなんて存在しない」