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2009年03月18日

「折り込め詐欺」

「新聞販売黒書」の黒藪氏は日本で流行している詐欺は「振り込め詐欺」と「折り込め詐欺」だという。
前者は毎日のようにニュースに出てくるが、後者はまったくメディアでは語られない。なぜか?自分たちが関わっているからだ。
資本主義社会の大企業メディアが自分たちに都合の悪い報道をするだろうか?多くの人は「しない」と答えるだろう。自分たちの利益を損なうと考えるからだ。しかし、アメリカでは、大手でもそのような報道をおこなう。そして、それがまた人々に評価される。
日本のメディアは、とくに自分たちの大きな問題に関しては語らない。大手新聞の記者が電車の中で痴漢をしてつかまった、酒場で暴れた(こんなことアメリカの新聞社では考えられないことだが)などは報道するが。
「折り込め詐欺」に関するビラが福岡天神で配られた。ビラを受け取った人々の中には説明を求めてきた人もいたとか。
それにしても、このビラはシンプルでよくできている。分かりやすい。  


2009年03月17日

NPO 畑の教室 白石好孝

 15日(日)に練馬区大泉町にある白石農園にお邪魔してきた。住所を間違えてしまったため、10時ぎりぎりに到着。途中、他の農園でここが白石農園かと尋ねると、「白石農園はもっともっと大きく、とてもきれいな場所。こんな汚いところとぜんぜん違う」と言われた。
白石氏はNPO畑の教室の理事。「ぶどうの木」の著者、坂本洋子氏同様、彼もとても説得力のある、大変興味深い話をしてくれる。「20分くらい時間があるので、質問に答えますよ」と言っていただき、インタビューが始まる。気がつくと、2時間以上経っていた。ほんとうに素晴らしい話を聞くことができた。この仕事はやめられない。昨日記事を書き上げ、本社に送った。
「食の安全」でメディアが騒いでいる影響もあるのかもしれない、あるいは、不景気の影響かもしれないが、現在、都市農業は大変人気がある。この日、練馬区だけで1500人が14カ所で体験農園を始めたと言う。白石氏は13年間続けてきたが、最近は若い人が増えているという。白石氏の体験農園はなんとリピーターが9割。30平方メートルの土地を1年間借りる。ある利用者いわく、収穫した野菜を計算して、そこからその利用料を支払っても、8万円から9万円の利益があるそうだ(もちろん、労賃はゼロで計算している)。
かつてバブルの頃、ある著名な経済ジャーナリストが「練馬の農地が土地高騰を招いている原因」だと言っていたそうだ。しかし、白石氏は、現在、社会から今まで以上に必要とされている。
イギリスのBBCなど海外の主要メディアも彼に取材に来たという。取材慣れしているというよりは、地に足が着いた(down to earth)人だから、彼の話はそれだけ魅力的なのだろう。フワフワのテレビばかりから情報(つまり、誇張ばかり、深い意味のない内容)を得ている人などは、白石氏の話を聞いたらカルチャーショックを受けるのではないだろうか。  
タグ :社会食事


Posted by take at 21:50Comments(0)農業

2009年03月15日

経済小説家による小泉・竹中路線の愛国者的批判 半澤健市

経済小説家による小泉・竹中路線の愛国者的批判

リベラル21に半澤氏の興味深い書評がありましたので、転載します。
書評 高杉良著『市場原理主義が世界を滅ぼす!』(徳間文庫)
半澤健市 (元金融機関勤務)

《『金融腐蝕列島』の感動》
 40年の金融マン生活を終えた私が、高杉良(1939年~)の『金融腐蝕列島』を読んだのは10年ほど前である。そのときの昂揚した気持を私は忘れない。
大手都銀上層部の権力闘争、貸付債権回収を巡る暴力団や総会屋とのウラ取引、MOF(大蔵省)担当者の得意と屈辱、迷走経営を糾弾するミドルの決起。これらを描ききった長編企業小説であった。類型的で通俗的だといえばいえる。しかし、この作家のもつ構想力と圧倒的なリアリズムに私は圧倒された。高杉は取材に1年をかけ、銀行上層部から末端の行員、大蔵省の要路など100人以上に話を聞いたという。「〈ドキッとするほどリアルであり過ぎる〉と多くの銀行関係者が証言したのを聞いて、私は苦労のし甲斐があったと思った」と自ら書いている。続編もあるが、この第一作は、70本の経済小説を書いてきた著者の一つの到達点だと思う。
『市場原理主義が世界を滅ぼす!』は、その作家が書いた小泉・竹中路線批判の書である。07年に光文社より発行された『亡国から再生へ』に加筆修正し徳間書店で文庫にしたものである。

《小泉・竹中路線の「売国性」》
 小泉は経済を知らず具体的な政策形成は竹中に丸投げした。その竹中が「感度が鈍く、米国金融モデルを信用し続けていた人物」であることが著者によって次々に例示される。一、二を紹介しよう。
一つは郵政民営化批判である。
08年4月にBS朝日の対談番組「竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方」で竹中はお笑いタレント上田を相手に経済不況に関して次のような提言をした。
▼わたしは実は、日本の方を心配しています。サブプライムの影響そのものは大きくないが、円高を通して輸出産業が影響を受ける。一方で改革が進まず内需が弱い。日本をよくすることは、サブプライムと別に考えていく必要があります。そこで今回もニッポンの作り方として、『民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ』と是非申し上げたい。(略)アメリカに対しても貢献できるし、同時に日本郵政から見ても、アメリカの金融機関に出資することで、いろいろなノウハウを蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる。

これを聞いた高杉の頭には二つの解釈が浮かんだ。一つは実体経済を理解できない無能な経済学者竹中であり、二つは米国の走狗である竹中である。高杉は以前に小泉・竹中ラインを「売国奴」と呼んだことがある。二人は、日本経済をどん底まで叩き落として、米国のハゲタカファンドにあらゆる国富を安値で買い叩かせる。郵政民営化も郵便貯金を米国に差し出すということだ。こう考えたからである。
その高杉が、竹中がここまでストレートに言うのを聞いて「さすがに気は確かかといいたくなる」と書いている。そして「仮に竹中の発言通り、(08年)4月の時点で郵便貯金を米国金融機関へ出資していたら国民の貴重な財産が泡と消え、日本郵政は倒産の危機に瀕していた」と述べている。

《竹中「構造改革の失敗」》
 二つは、金融庁の裁量行政による失敗である。
具体例として、UFJホールディングス(旧三和銀行グループ)の三菱東京フィナンシャル・グループとの不必要だった合併のことを述べている。05年9月期中間決算で大手都銀6グループの最終利益は合計1.73兆円と、前年同期の21倍という大幅増益となった。うち三菱東京UFJは7118億円でダントツの利益を計上している。メディアは「三菱東京UFJ」がトヨタを抜いた」と書いた。それに関して高杉は次のようにいう。
▼UFJはつい1年前には経営不振で救済合併として三菱東京と統合された銀行である。
そんな傷んでいたはずの銀行が、それからわずか1年で最大の利益をあげられた理由が「景気回復による改善」であるはずがない。UFJが最大利益をあげられた理由は、不良債権処理に対して積んでいた引当金が不要になり引き戻されたからである。つまり、UFJは竹中路線による金融政策によって、積まなくてもいい引当金を積み過ぎていたのだ。よってこの事実が物語るのは、竹中金融担当大臣の明らかな金融行政の失敗である。

それを書かずにトヨタを抜いたなどと書くメディアは愚かだというのである。
竹中はなにかというと構造改革の成功例として不良債権処理を挙げるが実態は決してフアインプレーではなかったのである。私自身もUFJグループの一員だったから、合併後の社内カルチュアの変化を仄聞するが、銀行という疑似インテリ集団の再編悲劇が予想通り起こったらしい。

《大手メディアへの厳しい批判》
 高杉は返す刀で、大本営発表を繰り返すだけで、報道すべきことをサボった大手メディアを批判する。たとえば、アメリカが毎年日本に突き付けている『年次改革要望書』は、90年代始めから公開されているのにそれを黙殺した。竹中はそんなものは知らないとシラを切った。その間に要望書にある通りの政策がこの国で次々と実行されたのである。少数の慧眼な識者、たとえば森田実、吉川元忠、関岡英之、本山美彦、原田武夫、小林興起らはそれを夙に指摘していた。だがその声は無視されたのである。報道されるようになったのは極く最近である。大手メディアは産業界、官僚、御用学者、広告会社とともに、新自由主義・市場原理主義のイデオロギーを人々に注入し続けてきたというのである。高杉は特に日経、朝日に強い批判を浴びせている。

結局のところ、『市場原理主義が世界を滅ぼす!』で高杉がいくらか挑発的かつ感情的に訴えていることは次のことである。すなわち、米国の対日経済戦略は「日本の金融資産を米国経済の為に使う」のが目的だったこと。すなわち、新自由主義はそのイデオロギーであること。すなわち、日本人はほぼ洗脳されたこと。すなわち、その下手人は小泉・竹中であること。これである。
本書において高杉は熱烈なナショナリストとなっている。ならばその愛国的心情と愛国的分析をわれわれはどう評価すべきであろうか。

《長い戦後における両国経済の消長》
 戦後60年の日米関係を両国経済力の消長から見ると次のようになるだろう。
前半の30年は米国がカネを出して日本を復興させた。その日本が造る商品を米国が買った。日本は貧しい経済大国になった。米国が借金国となり日本が債権国になったのが80年代である。戦後後半の30年は、米国が日本に米国商品を買えと迫った。しかし買うものはなかった。
金融市場はそれでも開放があったほうである。テレビでは疾病、入院保険、葬儀費用のCMが花盛りである。米国保険業による参入は成功した。破綻した世界最大の米国保険会社AIGの生保子会社は日本市場で利益の大半を出していたのである。昔の日本人には、ニコニコしながら人の不幸で商売する習慣はなかったと思う。そこで日本商品の売上代金がすべて米国へ還流するシステムを米国は創ったのである。ニッポンの貯蓄がアメリカの消費を支える構造である。その最終段階を仕上げたのが小泉・竹中チームであった。それを踏まえた高杉による日米関係の「愛国的分析」は、御用エコノミストにはない的確な分析だといってよいであろう。

しかし「08年恐慌」は、米国に都合の良いシステムを消滅させる条件を形成しつつある。小泉・竹中路線の支持基盤は崩壊に向かっている。「かんぽの宿」売却を巡る日本郵政―その背後にオリックス―対鳩山邦夫の対決、定額給付金を巡る麻生対小泉の対立は、そういう日米関係崩壊の戯画的な表現かもしれない。
そこまでは分かるのだが、この国の経済再建の青写真は五里霧中のなかにある。市場原理主義批判において鋭い高杉良も、前途を明快に指し示しているわけではない。
本書は他に、城山三郎を師とする高杉の経済小説論、作者が好意をもった財界人論、メディア相手の訴訟問題、田原総一朗・ホリエモン批判などの興味ある記事を載せる。
本書は「愛国者vs売国奴」の対決を面白く読ませる一冊である。

高杉良著『市場原理主義が世界を滅ぼす!―〈日本人〉再生への提言』、徳間文庫、徳間書店、09年2月刊、590円+税

以上リベラル21よりの転載。  


Posted by take at 00:09Comments(2)読書

2009年03月14日

ユダヤ系人権団体が田原総一朗を非難

2009/3/12 J-CAST ニュース「ユダヤ発言」したのかしないのか テレ朝に米人権団体が抗議

3月8日放送のテレビ朝日「サンデー・プロジェクト」で司会の田原総一朗氏が国内の政治スキャンダルをアメリカとユダヤ人のせいにしたとユダヤ系人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターが非難の声明を出している。日本におけるユダヤ人に対する偏見は海外ではよく知られている。
テレビ朝日は「ユダヤ」にではなく「有罪」と言ったと否定しているが、田原氏は次のように言っている。
「ただ、繰り返し言いたい。田中さんも、結局はやられた、ユダヤに。小沢さんもそうやっぱりやられる…」
テレビ朝日も田原氏もすぐに謝罪するべきだった。今からでも遅くない。

2001年、9.11のテロ事件の後に起きた炭疽菌がアメリカのメディアに送られてきた事件に関して、同じくテレビ朝日の番組「スーパー・モーニング」で元カイロ支局長の川村晃司氏は「米メディアがユダヤ人によって支配されているため炭疽菌攻撃の目標になった」とか「炭疽菌攻撃の標的に共通する特徴は彼らがユダヤ人であること」などと主張した。サイモン・ウィーゼンタール・センターはこのときも川村氏を非難、番組からはずすことを要求してきた。

川村氏や田原氏のようなメディア・エリートは日本で影響力を持つ。

万が一アメリカでこんな発言をしたら(そういうこと自体考えられないが)、クビだ。


 

  
タグ :メディア


2009年03月11日

「乳と卵」 川上未映子

「乳と卵」川上未映子著 

私の副編集長はハーバード大学卒業、日本語も少しできる。アメリカの主要紙の国際部副編集長だ。
その彼女は作家である川上さんを大変尊重していた。
川上さんは個人で大きな賞(芥川賞)を受賞した作家、組織の中のジャーナリストなどよりもずっとすごい、ような点を強調していた。同じようなことは「ジャーナリズム崩壊」の中で上杉氏が述べている。
「この名刺を持っていたら警察もこわくないんですよ」などと私の知り合いに言ったテレビ局の人とはぜんぜん異なる。もちろん、「名刺社会」の日本だから言えてしまうのだが。

  


Posted by take at 20:10Comments(0)読書

2009年03月06日

川上未映子

 

昨年、The Christian Science Monitor の副編集長が来日したときに彼女は作家の川上未映子さんにインタビューした。ぼくも同席した。川上さんは2008年に「乳と卵」で芥川賞を受賞。
インタビューが終わり、川上さんが帰った後、二人で顔を見合わせて出てきた言葉は、"impressive"( ぼくの言葉)"Oh, very impressive"(副編集長の言葉)。
日本語にすると、「素晴らしい」「感動的」「強い印象を与える」というような意味。
大阪の高校卒業後、新地でホステスとして働きながら、音楽活動を続けた。その後、作家となった。通信制の大学で哲学も学ぶ。
人生経験が豊富だからこそ彼女の作品は興味深いのだろう。その代表作が「乳と卵」。インタビューは30分から40分くらいで終わるだろうと思っていたが、2時間ほどかかってしまった。彼女には大変申し訳なかった。しかし、それだけ、彼女の話が大変興味深く、素晴らしいものだった。川上さんは次の作品にも言及、彼女だからこそ書ける内容だと思った。大変楽しみだ。
何よりも我々が驚いたのは待ち合わせ場所のカフェに川上さんは自転車で来たこと。
副編集長は最初から最後まで感心していた。
下記は、副編集長が川上さんに関して書いた記事のリンク。
Mieko Kawakami : From blogger to global novelist
  


Posted by take at 20:21Comments(0)作家

2009年03月03日

坂本好一、洋子夫妻 石原慎太郎東京都知事

先日、23年間で12人の子どもの里親となってきた坂本好一、洋子夫妻の家を訪れた。
玄関から応接間に至るまで子どもたちの美しい写真がたくさん飾られていた。
洋子さんの著書でもある「ぶとうの木」(幻冬舎文庫)は、「里親」という言葉がほとんど知られていない時代から(今もあまり認識されていないが、残念ながら)社会の無理解と差別に衝突しながら里親を続けてきた夫妻とその子どもたちの記録だ。いまだに「元里子」だと就職先でも差別されることがあるという。
なかでも許しがたいのは学校側の無知、偏見。校長からして強い偏見を持っているものもいるという。彼女の話と里親制度に関する記事は先月The Christian Science Monitorに掲載された。編集長はこのテーマを大変気に入ってくれ、第1面に掲載された。
"In Japan, foster parents blaze an unpopular trail"

彼女の著書とインタビューでいろいろなことを考えさせられた。坂本さんはものすごく説得力があり勉強になる話をしてくれる。
講演者としてもトップクラスだ。ソフトバンクにも招かれて講演したという、まったく驚くことでない。
山梨県立大学教授で、山梨立正光生園統括施設長の加賀美尤祥さんのお話も大変興味深く学ぶところが多かった。
日本語でもこのテーマで記事を書くつもり。
坂本家の応接間には子どもたちと坂本夫妻、石原慎太郎東京都知事の写真が飾られていた。知事が坂本家を訪れたときのものだという。石原知事は、大きなピースサインと満面の笑顔で坂本一家と一緒に写真に納まっていた。
  


Posted by take at 19:16Comments(0)里親

2009年03月02日

雇用のミスマッチ(8)自分もミスマッチ?

雇用のミスマッチといえば、自分もその対象になると言われる。UGH!
「おまえがジャーナリストとはな...」、信じられない、といような口調でぼくのことを鼻で笑っていた人もいた。高校の同級でも「おまえが何書くんや!」と...。腹立ったりしないんだな、これが。
高校時代を知っていたりすると、信じ難いのか?
日本語と英語で記事を書き、それが主な媒体に掲載されていても、日本の社会では、このようにバカにされることもめずらしくないということを知る。とくに「フリー」で、会社の社員でないとなおさら。しかし、自尊心が低くないので、そのようなジャブはあまり効果的ではないが...。  


Posted by take at 21:40Comments(0)雇用

2009年03月02日

雇用のミスマッチ(7)芸能人起用のニュース番組

そういえば、以前、ラサール石井氏を起用したニュース番組に関して記事を書き、たまたま日本語に訳したので、下記に掲載したい(先日、みの氏に言及したので)。

Japanese TV journalism gets a celebrity makeover
2005.6.16 米クリスチャン・サイエンス・モニター紙
芸能人起用による日本の映像ジャーナリズムの変貌
記者 神林毅彦
東京---中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を突然キャンセルして、日本を後にした先月後半、多くの人々はアジアの2大国間の亀裂が深まっているもう一つの徴候だと見た。
他のニュース番組同様、東京の“イブニング・ファイブ”(TBS 16:54-18:55 一部地域を除く)は番組で副首相の会談キャンセルを取り上げた。しかし、著名なコメディアンであり、そのニュース番組の司会者でもあるラサール石井氏が、その60代の女性副首相がなぜいまだに独身かということに関する疑問を口にした時、彼は会談取りやめに関する議論をニュースとはまったく関係ない領域に持っていってしまった。
石井氏は東京版ジョン・スチュワート(注1)を演じようとしているわけではない。有名人ゴシップと重大なニュース混ぜ合わせの2時間番組である“イブニング・ファイブ”は、視聴率を上げるために芸能人を起用している最近のニュース番組の一例だ。 
競争は熾烈だ。昨年、テレビ朝日は局の主要ニュース番組(報道ステーション)のアンカーに著名な司会者である古館伊知郎氏を起用した。TBSでは、今のところ、ラサール石井氏を起用したとはいえ、イブニング・ファイブの視聴率は上がってはいない。
石井氏や古館氏のような芸能人アンカーの登場は日本のジャーナリズムの長年の問題を悪化させていると専門家は言う。大メディアは、記者クラブ制度による権力との共生関係に関して長い間批判されてきている。
日本のニュース番組がエンターテインメントの方向に向かっていくのと同時に、日本と中国の関係が最悪になってきている、とも専門家は指摘する。
テレビ局は「アジアとの関係はいまテレビが真面目に考えない風潮をつくり、それを拡大している」と日本の政治とメディアの批評家である森田実氏は言う。
日本では、アメリカのような深く浸透したジャーナリズムの伝統がない。芸能人を起用することによって、メディアは「今まで以上に問題提起を怠るでしょう。このことは、彼らが権力によって簡単に操られるということを意味するのです」と京都の同志社大学でジャーナリズムを教える浅野健一教授は言う。
アメリカ人が軽薄、取るに足らない、性差別主義だと思うコメントでも日本の視聴者は大目に見てしまう傾向がある。先日、“イブニング・ファイブ”の放送の中で、2008年の大統領選においてローラ・ブッシュとヒラリー・ロドム・クリントン上院議員の争いを予想する一コマがあった。そこで、石井氏は「お二人ともとてもお美しいですねぇー」と付け加えた。
芸能人アンカーの出現を専門家は懸念している。「ニュースが完全にエンターテイメントになってしまう始まりかもしれません」とカリフォルニア州立大学サンディエゴ校のエリス・クラウス教授は言う。
日本の視聴者は気にかけないようだ。石井氏は良いと思う、と吉田氏(一般視聴者)は言う。「彼は我々が聞きたいと思っている質問をゲストに聞いてくれています」吉田氏はニュース23のアンカーである筑紫哲也氏のようなジャーナリストは好まないと言う。「エリートっぽい態度が好きでないのです」
さとこさんという一般視聴者は石井氏のインタビューはわかりやすく、彼は感じが良く、ユーモアもあるという。しかし、彼女や他の女性は家事をやりながら見ているため、それほど注意してニュース番組を見ていないという。
日本の映像ジャーナリズムに対するまた別の批判は、芸能人アンカーのコマーシャル出演をテレビ局側が制約しないことだ。例えば、石井氏はアメリカの生命保険会社のCMに出演している。しかも、そのCMは時々彼のニュース番組の間に流れるのだ。アメリカだと、利害の対立だと考えられるだろう。しかし、TBSは報道局がニュース番組の編集権を握っているという理由で問題視していない。
しかし、森田氏のような批評家は納得しない。「彼らの社会的役割の一つは市民を教育することです。しかし、彼らにはその役割がまったく欠如しているのです」
大メディアは社会に対して圧倒的な影響力を与えているにもかかわらず、「自分たちの仕事(ジャーナリズム)を真剣に考えていません」と浅野教授は言う。日本では「ジャーナリズムはほとんど存在しなくなってきました」

(注)ジョン・スチュワートは、ニュース番組をまねたアメリカの人気コメディ番組「デイリーニュース」の司会者。



  


Posted by take at 06:25Comments(0)雇用