2009年12月05日
「見せかけ」の日米「良好」関係
「見せかけ」の日米「良好」関係
オバマ大統領が来日したときの自分の記事(クリスチャン・サイエンス・モニター)に、取材でいつもお世話になっている前岩国市長・井原勝介氏の下記のコメントを引用しました。
前岩国市長の井原勝介は言う。「日米両国は、住民に説明することなく米軍再編に同意した。両国は見せかけの良好な関係を維持してきたが、今こそ成熟した関係を築くべきである。岩国や沖縄の住民は、現在の計画を受け入れていない。このまま実施したら、日米関係を大きく損なうことになる。」
この訳は井原氏のブログから転載したものです。ブッシュ・小泉時代に日米の関係は「とても良好」と記事に書いた自分にとっては耳に痛いご意見です。
井原氏が言うように、岩国にしても、沖縄にしても住民はまったく説明されていないと言います。十分な説明もなしに日米政府とも「合意」したなどと言うべきではないと思います。しかも、日本の大手メディアは住民の声をまったく無視したバランスを欠いた報道を行ってきました。いまも行っています。「普天間基地移設問題」や辺野古の代替基地建設と報道しながら、出てくる声はアメリカからのプレッシャーと日本の政府の声ばかり、肝心の地元住民の声はまったく反映されていません。
私がインタビューした岩国市の市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の事務局長・桑原清氏の次の意見が政治評論家・森田実氏がアメリカで出版した書"Curing Japan's America Addiction"に掲載されています。
私は妻と30年以上岩国で包装材料屋をしています。以前は包装材料の営業マンをやっていました。私が(岩国の米軍基地拡張の)反対運動を始めたら、顧客である大手の会社が契約を解除してきました。岩国商工会は福田良彦さん支援ですから、そうなるとわかっていました。しかし、私は正しいことをしていると思っています。
戦後から米軍基地があったので、ずっと受け入れてきました。基地に対する反発など一度もしたことはありません。しかし、今、岩国基地が拡張し、軍用機が2倍以上になると聞いています。政府は詳しい情報も与えないし、説明もしてくれないため、我々の不安は増すばかりです。日本におけるアメリカ軍再編が我々にどのような意味があるのか、日本の防衛とどのように関係しているのか、我々住民はまったくわかりません。政府からの説明はまったくないのです。
米軍基地の騒音に関してですが、とくに天気があまりよくない日は雲が立ち込めるため基地からの騒音が気になります。
福田市長は今以上の基地の強化はないと言っていますが、そんなの誰も信用しません。福田さんが当選後すぐに、政府は岩国が必要としていた金を出しました。福田さんが政府と、とくに石破防衛大臣と、どのような約束をしてきたのでしょうか。福田さんは市長選では勝ちましたが、大多数の市民は米軍艦載機の受け入れには反対しています。
選挙運動期間中、「病院がつぶされる」とか「市営バスがつぶされる」とデマを飛ばした女性たちがいました。「明るい岩国をつくる会」という自民党関連の婦人部がそのような根拠のないうわさを流していたと言われています。
日本の他の地方同様、岩国の地方経済も疲弊していて、とくに中小企業に不況感があります。多くの人々が経済的な不安を抱えています。うちの店の売り上げも良くなく、以前の3分の1まで落ちています。また、他の地域同様、年収200万円以下の非正規雇用の人がたいへん増えています。日本は少子化問題に悩んでいるというのに、彼らのような人々に結婚できる環境をつくってやらなければ、子どもだってできません。景気が悪いせいもあり、市長選挙では建設業界が動きました。
次の言葉を井原さんから教わりました。「自治は自分たちでおこなうもの。国がおこなうものでない。自分たちの町は自民たちで守るのだ。国がどうこういう問題ではない」
(以上)