2009年11月14日
デートDVに関して若者のもつ意識調査結果報告
以下は、私が取材でお世話になっていアウェアの山口のり子さんから送られたメールです。
デートDVに関して若者のもつ意識調査結果報告(概要)
1 調査目的
当調査は若者が実際に、どのようなデートDV行動をどのくらいしているのか、デートDVにつながる危険でまちがった意識(考え方や価値観)をどのくらいもっているか、さらにそのような意識をもつことがどのようにデートDVにつながるか、などを把握することを目的として実施した。
2 調査対象 母集団:主に高校生、一部大学生 標本数:2494人
3 調査時期:2006年10月~2007年10月
4 調査方法:アウェア認定のデートDV防止プログラム・ファシリテーターが全国各地の学校(主に高校、一部大学)でプログラム実施の際、生徒たちにアンケートに記入してもらい回収した。
集計結果と考察のまとめ
1.これまで親密な付き合いをしたことのある人の中で、デートDVの被害経験のある女性は5人に1人以上で、男性は11人に1人の割合だった。女性のほうが男性に比べて約2.5倍の率で被害にあっていることに注目したい。若い女性の5人に1人という数字は、冒頭に述べた内閣府の調査結果と一致している。デートDVは一部の若者が抱える問題ではなく、すべての若者に関係のある問題であるということが、当調査結果からも言えるだろう。
2.女性は相手の行動を制限する形の暴力をしがちで、男性は行動を制限すること以外にも言葉で相手を見下したり傷つけたりするような言葉の暴力と、からだへの暴力をしがちな傾向のあることがわかった。また、束縛する意識は男性の方が強く、女性の束縛の意識は相手の行動の制限という形で表れやすい一方で、男性の束縛の意識は様々な形の暴力で表れやすいことが分かった。そのような男性による様々な形のDV行為のほうが、相手に与えるダメージや心の傷は大きいと考えられる。若者たちにはこのことをしっかり伝える必要があるだろう。男女どちらもしているとか、程度の問題などという見方は、男性から女性への暴力が与える被害を軽く見ることにつながると警鐘を鳴らしたい。
3.デートDVをした人(した・された人を含む)のほうが、DVにつながるような危険な考え方である意識調査の14項目を支持する傾向のあることが分かった。男性と女性では、男性のほうがDVをすることにつながる意識をより強く持っている傾向のあることも分かった。
4.性暴力は、女性のほうが男性より多くの被害にあっていることや、性暴力をしたほうはしたという自覚が少ないことがわかった。男性は何が性暴力になるのかしっかり自覚し、女性は性的自己決定ができる力をつけるよう働きかけることが必要だと言えよう。
5.当調査結果から、若者がデートDVにつながる危険でまちがった意識(考え方や価値観)を3人に1人という高い割合でもっていることが分かった。デートDVの加害者にも被害者にもならないように、意識調査用紙の14項目に代表されるような、間違っていて危険な意識、つまりデートDVにつながる可能性のある意識を改めるきっかけを若者たちに提供するような教育が必要であろう。そのためにデートDV防止教育が、若者たちが男女(女男)平等の意識をしっかりもてるような教育として実施されることが望まれる。
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