2009年06月27日
「テレビとタレント政治家に振り回される政治の貧困」 森田実
中田横浜市長や東国原宮崎県知事、橋下大阪府知事ばかり出す理由は、テレビ局など大手マスコミの不振が背景にあるだろう。なんとしても視聴率を上げたい、販売部数を伸ばしたい。資本主義社会のもとでの大企業メディアが考えることは利益のみだ。そこにはジャーナリズムなどという言葉は入ってこない。
小泉純一郎氏と田中真紀子氏で一時期視聴率を上げたテレビ局は、自民党と同様、味をしめた。しかし、インターネットやケーブルテレビの普及などにより、大手マスコミがどれだけひどい仕事をしているかを一部の国民が知ってしまったのだ。と同時に、テレビや新聞などを見なくてもニュース(たとえレベルが低くても)を得ることはできる。大手マスコミで働く人々などは社会のことなど考えていないだろう。ほんとうに社会のことを考えているのなら、大手マスコミで働くことはやめている。なぜなら、ジャーナリズムは実践できないからだ。
しかし、「視聴率」ってなんだ?ある大手メディア会社の友人や知人は言う。彼らの会社の調査によると、日本の人々はたしかにテレビには向かっているのだが、テレビ番組を見ているのではなく、テレビゲームに興じていたり、DVDを見たりしているという。たしかに、DVDをレンタルに行くと、アメリカのテレビ番組シリーズの多さに圧倒される。しかも、テレビよりもインターネットに向かっている人々がどれだけ増えていることか。
たしかに、低俗テレビ番組で十分満足している人々がいまだに多い。どんどん小さくなっているシェアを競い合っているだけだ、と彼らは言う。
「総裁」になりたい?まずは田植えから始めろ。
以下、関連のサイトと森田氏のコメント。
追撃コラム&取材メモ
2009.6.26(その1)
森田実の言わねばならぬ【561】
平和・自立・調和の日本をつくるために[599]
《新・森田実政治日誌(45)》テレビとタレント政治家に振り回される政治の貧困/政治をもてあそぶマスコミの不見識を叱る
「テレビは各フランス人の食堂における政府である」(アラン・ペールフィット)
東京のテレビは、毎日、毎日、朝から晩まで、東国原宮崎県知事、橋下大阪府知事の国政に関する発言を放送しつづけている。マスコミは東国原宮崎県知事を政治ニュースの中心人物として扱っている。自民党全体が東国原宮崎県知事の発言に振り回されている。一部のマスコミは東国原宮崎県知事を自民党総裁候補として扱い始めている。不見識も甚だしいと言わなければならない。マスコミの諸君、悪ふざけもいい加減にしなさい──と言いたい。
ところが、乱れは日本のマスコミにとどまらない。外国通信社のなかにも東国原宮崎県知事を自民党総裁候補として扱い始めているところがある。ある外国人記者は「東国原知事は第二の小泉純一郎だ。いまの日本には第二の小泉が必要だ」と真面目に言った。私は小泉政治を批判しつづけてきたし、いまも批判しているが、「東国原は第二の小泉」との見方はどうかと思う。
自民党内の抗争は激化している。6月25日の麻生首相の早期解散示唆発言は党内の麻生おろしへの闘争宣言と受け取られている。自民党党内の混乱はエスカレートするばかりである。もしも麻生首相が自民党内の麻生颪つぶしのために衆院解散を強行するようなことをすれば、麻生内閣も自民党もおしまいである。
このような混乱に乗ずるかのように、橋下大阪府知事らテレビタレント知事や中田横浜市長が目立った動きを見せ始めた。情報通の間には、彼らの衆議院議員への転身の模索との見方もある。
ともかく、とくに東国原宮崎県知事の発言ばかりを取り上げるマスコミの不見識は目に余る。この不見識なマスコミに政治が振り回されている。テレビは政治をもてあそぶのをやめるべきである。テレビの政治報道姿勢は不真面目すぎる。猛省してもらいたい。
(森田氏のコメントここまで)